【暖房】エアコン室外機が回らないのは故障?まず確認すべき霜取り運転チェックから故障の場合の費用相場まで解説!
「エアコンついているのになんだか部屋が暖まらないな…」と思って外を見たら、エアコンの室外機が動いていない。いつもは聞こえるファンの音もせず、シーンと静まり返っている…。
「もしかして、故障?」
今、この記事を開いたあなたは、きっとそんな不安と焦りでいっぱいだと思います。
ですが、待ってください。冬場にエアコンの室外機が回らないのは、必ずしも故障が原因ではありません。
この記事では、元エアコン修理技術者の視点から、室外機が回らない時にまず確認すべきこと、ご自身でできる安全な対処法、そして本当に故障だった場合の修理費用相場まで順番にわかりやすく解説していきます。
まずは落ち着いて、一緒に原因を探っていきましょう。
この記事のポイントは?
エアコン室外機が回らない!まず故障を疑う前に確認すべきことは?

寒い中、暖房が止まって室外機も動いていないと、誰でも「故障だ!」と焦ってしまいますね。お気持ちはよくわかります。
ですが、冬場に「暖房が止まった」ケースの多くは、実はエアコンの正常な動作によるものなんです。
まずは慌てて修理を依頼する前に、故障ではない3つの可能性から確認していきましょう。
霜取り運転が原因かも

「室外機が急に止まった」という場合、真っ先に疑うのがこの霜取り運転です。
これは、外気温が低い(約5℃以下)ときに、エアコンが自分自身を守るために行う正常な動作です。
- 外が寒い
- 室外機は熱を作ろうとして、本体の熱交換器が冷えます
- 空気中の水分が結露して霜になって張り付いてしまう
霜がつきすぎると空気が通れなくなり暖房効率が落ちてしまいます - 一時的に暖房運転をストップし、室外機を逆に温めて霜を溶かし始める
これが霜取り運転の正体です。この間は、室外機のファンは止まり、室内機からも温風が出なくなります。
室内機から「プシュー」や「ポコポコ」といった、いつもと違う音が聞こえることもあります。これは冷媒ガスが流れる音なので異常ではありません。
数分から、長い時でも十数分ほどで霜が溶ければ、エアコンは自動的に暖房運転を再開します。
まずは15分ほど、温かい飲み物でも飲みながら様子を見てみてください。
リモコンの運転モード設定ミス
次によくあるのがリモコンの設定ミスです。これも「うっかり」で意外と多いです。
室外機は、基本的に「冷房」と「暖房」の時にしか本格的に動きません。
リモコンの液晶画面を見て、運転モードが「送風」 や「内部クリーン」になっていませんか?
送風は、室内のファンが回るだけで、室外機は動きません。
設定温度が低すぎる
また、設定温度も確認してください。例えば、暖房の設定温度が22℃で、部屋の温度が既に23℃だった場合、エアコンは「もう部屋は十分暖かいな」と判断し、室外機を止めてお休みします。
「なんだか寒いな」と感じる場合は、試しに設定温度を今よりも2~3℃高く設定し、室外機が動き出すか確認してみましょう。
本体ランプが点滅?応急運転でわかる故障のサイン
「霜取り」でも「設定ミス」でもない。リモコンはちゃんと「暖房」になっているのに動かない。そんな時は、室内機本体のランプを確認してみてください。
もし、運転ランプやタイマーランプが点滅していたら、それはエアコンが何らかの異常(故障)を検知しているサインである可能性が高いです。
リモコン故障の可能性
この時、リモコンが壊れている可能性もゼロではありません。そんな時は、エアコン本体についている応急運転ボタンを押してみましょう。
これは、リモコンなしで強制的にエアコンを動かすためのボタンです(多くは室内機のカバーを開けた右側などにあります)。
このボタンを押してもエアコンが全く反応しない、またはすぐに止まってしまう場合は本体側に何らかの問題が起きていると考えられます。
霜取り運転でも設定ミスでもない…自分でできる対処法は?

霜取り運転ではなさそうだし、リモコン設定も間違っていない。ランプも点滅していない。それでも室外機が動かない…。
いよいよ故障かと不安になりますが、まだ試せる対処法があります。
まずは基本のリセット
精密な機械であるエアコンは、何かの拍子に内部のコンピューター(基板)が一時的なエラーを起こすことがあります。
そんな時、人間が寝て起きたらスッキリするように、エアコンもリセットで復旧することがよくあります。
- エアコンの運転を停止
- 壁のコンセントから電源プラグを抜いてください
- そのまま2~3分ほど待ちます
本体内部の電気を完全に放電させるためです。 - プラグを再びしっかり挿し込む
- リモコンで暖房運転を再開
併せて、ご家庭の分電盤(ブレーカー)も確認しましょう。エアコン専用のブレーカーが、何かの拍子に「切」になっていないか確認してください。
これだけで、あっさり動き出すケースも少なくありません。
フィルターのホコリつまりが暖房効率を下げている?
「室外機が動かない」という問題なのに、意外なこと室内機のフィルター掃除で解決することがあります。
室内機のフィルターは、部屋の空気を吸い込む最初の関門です。ここにホコリがびっしりつまっていると、エアコンは空気を吸いたくても吸えなくなります。
すると、暖房効率が極端に落ち、「一生懸命運転しても部屋が暖まらない!」とエアコンが判断します。
結果、室外機に異常な負荷がかかり続け、保護装置が働いて運転を停止させてしまうことがあるのです。
「室外機が回らない」という直接的な症状とは別に、「そういえば最近、暖房の効きが悪かったな」と思い当たる節があれば、ぜひ室内機のフィルターをチェックしてみてください。
ホコリがつまっていたら、掃除機で吸い取るか、水洗いを行います。これだけで暖房効率が劇的に改善し、正常に運転し始める可能性があります。
室外機の周りが雪や障害物で吸込口が塞がっていませんか?
室外機は、その名の通り「外」の空気を吸い込んで熱を交換しています。そのため、室外機の周りが物で塞がれていると呼吸ができなくなってしまいます。
ベランダに置いた植木鉢やゴミ箱、物置などが、室外機の吸込口(側面や裏側)や吹出口(ファンがある正面)を塞いでいませんか?
室外機の周りは、空気の通り道を確保するために一定のスペース を空けておく必要があります。
特に、雪国にお住まいの方は要注意です。大雪で室外機が埋まってしまうと、空気の吸込口が塞がり、運転できなくなってしまいます。
もし室外機の周りが物や雪で塞がっていたら、それらを取り除きます。室外機がしっかり呼吸(換気)できるスペースを確保してあげてください。
(注意) ご自身で室外機本体を動かすのは、配管の破損や故障の原因になるため絶対にやめてください。あくまで「周りの物」をどかすだけです。
まだ動かない…室外機が回らない本当の故障原因は?

ここまでの対処法をすべて試しても、まだ室外機が動かない…。そうなると、残念ながらエアコン内部の部品が故障している可能性が非常に高くなります。
ご自身での修理は危険ですし、専門知識が必要です。ここからは故障のサインを冷静に見極め、プロに正確に症状を伝えるための知識を身につけましょう。
室内機からエラーコードは出ていませんか?
最近のエアコンは「自己診断機能」を持っています。異常を検知すると、リモコンの液晶画面や室内機本体のランプの点滅パターンで、「エラーコード」(例: H11, F99など)として知らせてくれます。
これは、エアコンが「私、今ココが悪いです」と教えてくれる最も重要な故障のサインです。
メーカーによって確認方法が異なりますが、例えばダイキンならリモコンの「取消」ボタン長押し、パナソニックなら「お知らせ」ボタン などで確認できる機種があります。
もしエラーコードが表示されたら、すぐにそのコードをメモしてください。
それをメーカーのサポートサイトで調べるか、修理を依頼する業者に伝えるだけで故障箇所の特定が非常にスムーズになります。
コンプレッサーの故障(異音や無反応)
もしエラーコードも出ず、ただ「シーン…」と動かない場合、重症な部品の故障が考えられます。その筆頭がコンプレッサーです。
コンプレッサーとは、冷媒ガス(熱を運ぶ血液)を圧縮して送り出す、エアコンの心臓部とも言える最重要部品です。
コンプレッサーが故障するとガスを循環させられないため、暖房も冷房もまったく効かなくなります。
症状としては以下が挙げられます。
- 「カチッ」という起動音はするもののファンが回らない
- 普段しないような「ガラガラ」「ウィーン」といった異音がする
- 全くの無反応
主な原因は経年劣化 で、プロによる交換修理が必須です。そして、残念ながら修理費用も高額になる ケースがほとんどです。
ファンモーターの故障
コンプレッサー以外にも、室外機が止まる原因となる主要部品があります。ひとつはファンモーター、室外機のプロペラ(ファン)を回すためのモーターです。
コンプレッサーは動いている(「ブーン」という低い音はする)のに、ファンだけが回っていない場合、このモーターの故障が疑われます。
制御基板の故障
もうひとつは制御基板(せいきょきばん)やパワートランジスタです。エアコン全体の動作をコントロールする頭脳にあたる電子部品です。
この「頭脳」が壊れてしまうと、室外機に「動きなさい」という命令自体が出せなくなり、結果としてファンもコンプレッサーも動かない、という状態になります。
これらも経年劣化や、時には雷の「雷サージ」などで故障することがあり、プロによる部品交換が必要です。
冷媒ガス漏れのサインかも
「室外機が回らない」というより、「回っているのに暖房が全然効かない」や「最初は動いていたが、すぐ止まってしまう」という症状の場合、冷媒ガス漏れが原因かもしれません。
冷媒ガスが漏れて不足すると、熱を運べなくなり暖房が効かなくなります。
機種によっては、ガス漏れを検知するとエアコン自身を保護するために室外機の運転を強制的に停止させるものもあります。
室外機の配管接続部やパイプに霜がビッシリ付いている場合もガス漏れのサインです。
ガス漏れは、ただ補充すれば良いわけではなく、必ず漏れている箇所を特定・修理した上で適正量を再充填する 必要があります。これもプロの専門作業となります。
エアコン修理を頼むと費用はいくらかかる?

さて、故障の可能性が高いとなると、次にあなたの頭をよぎるのは修理に一体いくらかかるのか?でしょう。
ここで、気になる修理費用の相場、修理か買い替えかの判断基準、そして何より信頼できる業者の選び方を解説します。
【一覧表】室外機トラブルの症状別・修理費用目安
修理費用は、故障箇所、エアコンの機種、メーカー、そして依頼する業者によって正直なところ幅があります。ですが、おおよその「相場観」を知っておくことは、不当な高額請求から身を守るために非常に重要です。
以下に、室外機関連の代表的な修理・交換作業にかかる費用の目安をまとめました。
| 故障箇所 / 作業内容 | 修理費用の目安(出張費・技術料等込み) | 備考(症状など) |
|---|---|---|
| ファンモーター交換 | ¥15,000 ~ ¥33,000 | ファンが回らない。コンプレッサーは動いている。 |
| 制御基板・パワートランジスタ交換 | ¥15,000 ~ ¥52,000 | 全く反応しない。エラーが出る。 |
| 冷媒ガス漏れ修理・補充 | ¥10,000 ~ ¥48,000 | 暖房が効かない。漏れ箇所の特定・修理+ガス補充。 |
| コンプレッサー交換(心臓部) | ¥30,000 ~ ¥130,000以上 | 最も高額な修理。異音がする、全く動かない。 |
| (軽作業)ドレンホースつまり等 | ¥8,000 ~ ¥14,000 | (暖房とは別ですが)水漏れなどの軽微な不具合。 |
※あくまで目安です。正確な料金は必ず見積もりでご確認ください。
見ての通り、特にコンプレッサーの交換は非常に高額 になりがちです。
修理?買い替え?ボーダーラインは使用年数10年
もし、修理の見積もりが高額になった場合、「本当に修理すべきか、いっそ買い替えるべきか」悩みます。その判断基準として、私は使用年数10年というのを一つのボーダーラインとしてお客様にお伝えしていました。
エアコンの設計上の標準使用期間は、多くの場合10年とされています。
購入から10年以上経過している エアコンは、たとえ今回故障した箇所(例:基板)を修理しても、来年は別の部品(例:コンプレッサー)が壊れる…という「故障の連鎖」が起きるリスクが非常に高いのです。
もし、あなたがお使いのエアコンが以下のいずれかに当てはまる場合は、修理にお金をかけるよりも、新品に買い替えた方がコスパが良い 可能性が高いです。
- 購入から10年以上経っている
- コンプレッサーなど高額な部品が壊れた
- 修理見積もりが5万円を超える
- 最近、電気代が妙に高くなった気がする
最新のエアコンは省エネ性能が格段に上がっているため、修理代が浮くだけでなく、将来の電気代も安くなる というメリットがあります。
信頼できるエアコン修理業者の見つけ方
修理するにせよ、買い替え(に伴う工事)にせよ、必要になるのが「業者選び」です。そして、大変残念なことですが、この業界にはお客様の不安につけ込む悪徳な業者も存在します。
「今すぐやらないと大変なことになる」と不安を煽り、不要な高額修理を契約させようとするケースです。
そういった業者に騙されないために、以下のポイントを必ず守ってください。
- 保証期間を確認
- サービス内容と料金が明確か
- 口コミや実績を確認
まずはエアコンの保証書を確認します。メーカー保証や、購入した家電量販店の延長保証 が使えるかもしれません。
保証期間内なら、迷わず購入店に連絡しましょう。
業者の名前で検索し、過去の利用者からの評判や実績をチェックすることも重要です。
必ず相見積もりを取る
急いでいても、最低2~3社から見積もりを取り、料金と修理内容を比較してください。異常に高い業者はもちろん、「ガス補充5,000円!」など安すぎる業者も要注意です。
まとめ
寒い中、エアコンの室外機が回らないと不安になりますが、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。
冬場の暖房停止は、霜取り運転という正常な動作である可能性が非常に高いです。15分ほど様子を見てみましょう。
エラーコードや異音があり、DIYでも動かない場合は故障のサインです。特に使用年数10年を超えていれば、買い替えも視野に入れましょう。
もしご自身での解決が難しく、プロの助けが必要だと判断されたら、決して一人で悩まないでください。その際は、高額請求などのトラブル を避け、適正価格でしっかりとした仕事をしてくれる信頼できる業者を選ぶことが何よりも重要です。
クチコミからおすすめのエアコン修理業者が選べる「エアコン業者選びのセーフリー」が、あなたの不安を「安心」に変えるお手伝いをできることを願っています。
お住まいの地域と「エアコン修理」という条件で検索すれば、あなたの街の信頼できるプロ がすぐに見つかります。
サイト経由で、複数の業者に一括で見積もりを依頼することも可能です。故障の診断、修理、あるいは買い替えの相談まで安心して任せられるパートナー探しに、ぜひ「エアコン業者選びのセーフリー」をお役立てください。
よくある質問
エアコンの室外機から「プシュー」「ポコポコ」と音がして止まりました。故障ですか?
いいえ、それは故障ではない可能性が非常に高いです。外が寒い時に室外機の霜を溶かす「霜取り運転」が作動している音だと思われます。霜取り運転中は暖房が一時的に止まりますが、数分~十数分で自動的に再開しますので、そのまま様子を見てください。
室外機のファンは回っていませんが、「ブーン」という低い音だけしています。これは何ですか?
それは、室外機内部の「コンプレッサー(圧縮機)」だけが動いている音の可能性があります。ファンを回す「ファンモーター」の故障や、霜取り運転の準備中などが考えられます。ファンが長時間回らない、暖房が全く効かない場合は、ファンモーターや基板の故障が疑われるため、点検を依頼することをおすすめします。
